辻 明日真/ コラム, 小説, 連載/ 0 comments

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《ホーランドロップとトンビ》

辻 明日真

 

 

第十九話『富士山に呼ばれたから』

2016年4月21日(木曜日)@富士山

白陰と早稲田で再会を果たしてから20日後、鳶雄と政孝は日本国外からも広く知られる日本最高峰、富士山に来ていた。標高3776mを誇り世界文化遺産にも登録されているこの山は、日本人だけでなく海外の旅行者含む多くの人々を魅了する何かがあった。

「……はあ、はぁ、なんで富士山にいきなり登ろうと思ったの?」

「ん~、だって昨日の夜、急に行こうって思ったから」

「……っ、苦しい。何で昨日の夜行こうと思ったの?」

「富士山に呼ばれたから」

「……へ?」

「思い立ったらすぐ行動!夜行バスで安く来れたし、よかったじゃん!」

「……ってか、誠くん、さっきから息上がってないね。……うらやましいよ、その体力」

「まあ、普段からランニングしてるからな。体は資本だよ」

「うっ……何も言い返せない」

鳶雄がふと空を見ると夜空に無数の星が現れた。現れた、というのは鳶雄の立場からであって、実際にはその前からそこにあったのだが、鳶雄が顔を上げるまでその存在を認識できていなかった。

「な、なんじゃっ!こりゃ~~~」

「え?いまさら??登り始めた時からずっと星見えてたよ」

「無知は怖い」

「そ、そうだね」

「俺たちって、この星空みたいだな」

「……?」

「人間もこの星々のように輝いていてさ、一人の輝きは小さくてもそれが集まると大きな星空の輝きを見せてくれる」

「そうだね、僕たちもそうでありたい」

「絶対にそういうチームを作ろう!比べあうのではなく助け合うチーム!互いの個性で生かし合うチームを!」

「早稲田に戻ったら松下村塾、本格始動だね!!」

8合目を超え、もうすぐ登頂となった、その時、鳶雄と政孝の後ろから声がした。

「トビ!!!」

呼ばれるはずのない名前。鳶雄は不穏な予感がした。振り向きたくない、しかし振り向かなければ確かめることができない。胸中のざわつきを抑え込みながら後ろを向いた。

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「……?!!……な、なんで~~~」

瞬間にして鳶雄の顔はあおざめた。思わぬ人物と遭遇である。

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辻 明日真

辻 明日真

田舎に泊まろう!をコンセプトに自転車旅で10代はひたすらバガボンド。大学での豊富な失敗体験を生かして学生アドバイザーを行う傍らブログや小説に熱を入れる。アウトドアに見せかけて実は囲碁、お茶、コタツを三種の神器としているかなりのインドアマインドの持ち主。

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